ポルシェの魅力
確固たる哲学を持っています。
有名なものから、知る人ぞ知るものまで
ポルシェの魅力を少しご紹介します。
ブランド、企業、そして自動車メーカーとしてポルシェを形づくるあらゆる思想。それが、この言葉に集約されています。65年以上にわたってポルシェはこの言葉を車づくりの指針として掲げ、独自の歩みをつねに進めてきました。そしてこれからも、ポルシェの企業活動や製品を特徴づけるあらゆる価値観に貫かれることは明白です。そしてその思想の礎は、“ポルシェ”の名を冠する最初のスポーツカーを創り上げたフェルディナンド・アントン・エルンスト・ポルシェ、すなわちフェリー・ポルシェの愛称で知られるこの人物によって築き上げられました。
In the beginning, I looked around and could not find the car I’d been dreaming of: a small, lightweight sports car that uses energy efficiently. So I decided to build it myself.
Ferry Porsche
「小型で軽量、そしてエネルギー効率に優れたスポーツカー。私は自らが理想とするこうした車を探したが、どこにも見つからなかった。だから自分で造ることにした」
フェリー・ポルシェ
完璧なスポーツカーを創造するという彼の夢は、創業時から現在に至るまでポルシェの原動力であり続けています。今もポルシェはひとつのコンセプト、ひとつの開発、ひとつのモデルを生み出すごとにこの夢を実現するための一歩を確実に刻んでいます。まさに、揺らぐことのないポルシェの姿勢であり、そして全ての従業員がめざす理想でもあります。私達にとってそれは、まぎれもなく“ポルシェの原則”なのです。原則の根底にあるのは、あらゆるものの可能性を最大限に引き出すこと。インテリジェントな手段によってパフォーマンスをスピードに、そして走りの歓びへと転化させることこそ、ポルシェが目指し続ける目標です。大切なのは、パワーの向上だけではありません。いかなる状況でも、パワーを効率よく発揮させることが重要です。この原則はサーキットに由来し、ポルシェが創り出す全ての車に具現化されています。これこそが、ポルシェの“インテリジェント パフォーマンス”です。
ドイツのシュトゥットガルト市という場所に拠点を構えていたので、ポルシェ社はシュトゥットガルト市の紋章をメインシンボルに、デザインを行いました。
日本語で「馬の園」を指す、シュトゥットガルト市ですが、この市の紋章が、画像の右上に配置されている画像です。このマークがポルシェのベースとなっています。
フェルディナンド・ポルシェ博士はこの紋章と、シュトゥットガルト市があるバーデンビュルテンブルグ州の紋章を組み合わせて、現在のポルシェのエンブレムを作成しました。
車のエンジンは、その内部にあるシリンダーの中で燃料を燃焼させて発生する熱エネルギーを機械エネルギーに変換する装置です。簡単に言うとエンジンの中でガソリンを燃やして動力となるパワーを得る機械ということです。エンジン内では、何度もこの燃焼が行われていいるので当然エンジンは熱を持つことになります。
エンジンの開発は、いかに効率よく燃料を消費し、より大きなパワーを生み出すかという点と、燃料を消費した際に生じるこの熱をどのように制御するかという点も大きな課題になると思います。ある程度の熱はエンジンにとっても必要になりますが、エンジン自体の温度が高くなりすぎてしまうとオーバーヒートを起こしてしまい、最悪の場合にはエンジンが壊れてしまう事にもなります。
エンジンの性能を最大限に発揮させるには、エンジンを適切な温度に保ち続けるようにエンジンを冷却しなくてはなりません。
エンジンからの熱を空気を利用して排熱する方法をとっているのが空冷エンジンと呼ばれます。冷却方法としては、最もシンプルな方法と言えると思います。
ポルシェでは、911シリーズの前身と言われるポルシェ356からポルシェ911シリーズの901から993までこの空冷エンジンを搭載していて、これらのモデルが所謂「空冷ポルシェ」と呼ばれるモデルになります。
この空冷エンジンは大まかに分けると「自然空冷式」と「強制空冷式」の二通りに分けることが出来ます。自然空冷式は、エンジンのシリンダー外部に冷却フィンを取り付け、その冷却フィンに走行風などの外気を当てることでエンジンの熱を冷却する方式になります。エンジンの重量を軽量化し構造を簡易化することができるので主に二輪車に採用される冷却方式になります。
しかし、空冷ポルシェの様にリアにエンジンを搭載してあるレイアウトでは直接空気を当ててエンジンを冷却することが出来ません。空冷ポルシェに限らずレイアウトなどの都合で直接外気を当てることが出来ないエンジンについては、冷却用ファンなどを使い空気を当てたりもしくは、エンジンルームに空気を流しこむことでエンジンの熱を強制的に排熱します。この方式が「強制空冷式」と呼ばれる冷却方式になります。
構造がシンプルなため製造コストを抑えることができ尚且つ頑丈なエンジンになります。そしてシンプルな構造になっているためメンテナンスも行いやすいという点があります。また、エンジンの部品やラジエーターなどの冷却用のパーツが少なくなるため車体の軽量化を計ることが可能となります。
空冷ポルシェの魅力といえばエンジンの音がその一つに挙げれられると思います。水冷式では絶対に聞くことの出来ない空冷ポルシェのエンジン音、澄んだ金属音と乾いたマフラーの合わさった空冷ポルシェ独特のエンジン音が空冷ポルシェファンの心を震わせてくれます。
水冷式に比べて冷却性能が劣りエンジン温度のコントロールが困難なため排ガス規制への対応が難しい、強制空冷式の場合は冷却用ファンのスペースが必要になる、騒音に関しても水冷式に比べると大きくなってしまう、そしてエンジンの状態を維持する為にまめなメンテナンスが必要になる等が挙げられるかと思います。
空冷ポルシェは、ドライサンプによる大量のエンジンオイルをしてエンジンの冷却を行う油冷式という冷却方式も併せて採用していて、エンジンオイルの温度も水冷式に比べて上がりやすいのでオイル交換の頻度が多くなりメンテナンス面のコストがかかります。
水冷式エンジンは、「水」という文字が使われているように水を使ってエンジンの熱を冷却します。エンジン内部に水を循環させてエンジンの熱を吸収し、熱を吸収した水はラジエーターへ送られラジエーターで空気冷却されます。ラジエーターで冷却された水は再びエンジン内部を巡り、エンジンで発生した熱を吸収してラジエーターに戻ってくるという循環を行いエンジンの熱を効率的に冷却しています。
水冷式エンジンのメリットとしては、エンジン内を全体的に水が循環しているため均等に冷却能力が高くなる点や巡回している水にも遮音効果があるためにエンジンのメカノイズを抑えることが出来る点などがあげられると思います。その他にも温度のコントロールがしやすくなる、エンジン自体の設計をコンパクトに出来る等メリットが多々ある為に現在の冷却装置の主流となっている理由だと思います。
構造が複雑になり、それに伴い部品の点数が増えコストが上がる。ラジエーターなどのエンジン以外のパーツも増えるので全体的な重量が増えることになります。パーツが増えるという事はその分、壊れる可能性がある箇所も増えるということになり、故障が発生した場合は構造が複雑になっているため修理にも手間がかかってしまう事もあります。
ポルシェ911は50年以上変わらずRR(リアエンジン・リアドライブ)という駆動方式を採用してきました。
1960〜70年代の小型車にはくさんのRR車が製造販売されていましたが現在、ほとんどの車ではRRを採用していません。現在はFF(フロントエンジンフロントドライブ)がほとんどの車で採用されており、操作性に特徴を売り出した車はFR(フロントエンジン、リアドライブ)、スポーツカーなどはMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)を採用しています。
RRとは車体の後部にエンジンがあり後輪を駆動する方式の名称のことを言います。エンジンが後輪の真上から後ろであればRRで、後輪の真上より前であればMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)になります。
RRはエンジンがが後ろにあるのでフロントを低くすることができます。またボンネットを開けるとスペアタイアや収納スペースがとられています。
ポルシェ911で50年以上採用されています。
フロントタイヤは舵取り、リアタイヤはエンジンやトランスミッションなどの駆動とそれぞれ役割分担がされているので効率的です。
RRはエンジンが後輪にあり、リアタイヤにエンジンの重量を掛けてくれるので、アクセルを目一杯踏んでもタイヤが空転しなくなり、加速力が付きます。
RRは小回りがとても利きます。車のフロント部分にエンジンがないのでそのスペースを操舵装置で広く使うことができ、前輪の曲がりも目一杯取れることになります。
RRは後方にエンジンがあるためにリアタイヤに重量がかからず直進走行時の安定性が低いです。小回り効き、ハンドルが軽い分のデメリットになります。
RRはフロントタイヤが軽く、リアタイヤが重いのでコーナリング時にオーバーステアの傾向が強くなっています。中・上級者向けになります。
RRではトランクスペースがかなり狭くなってしまいます。フロントサスペンションやフロントブレーキなどの複雑化にともなってスペースを取るようになったためです。
ポルシェの創始者にして、近代自動車の父ともいえるフェルディナンド・ポルシェは初代ビートルを、その息子であるフェリー・ポルシェは356を、そしてそのまた息子のブッツィ・ポルシェは911を生み出した。ポルシェにとって、技術と並んで重要なものがデザイン。ブッツィ・ポルシェは優れたデザイナーとして、ポルシェデザインを設立。クルマだけでなくさまざまな製品に洗練されたカタチを与え続けた。
かつて911のボディは「金庫のようだ」と形容された。金庫のようという言い回しは、ドアの開閉などに伴う体感的な「剛性感」に過ぎないが、意外にも実はかなり本質を言い現わしている。ポルシェの優れている点のひとつにそういう感覚レベルとは別のもっと本質的なボディの硬さがある。
離れてみると911の造形は鳥の卵に近い。卵型は進化の過程で研ぎ澄まされた究極的造形のひとつであり、構造的には人間の体重を支えられるほどの丈夫さを持っている。外殻による強度構造の理想形として古代から多くのエンジニアリングの参考にされてきた。身近な一例を挙げれば、かつてスバル360が、軽量安価で丈夫なボディを実現するために、やはり卵型を突き詰めた話は有名だが、そのバックグラウンドとしては富士重工の航空機メーカーとしてのエンジニアリングがあった。
軽量で剛性が高いことがクルマ以上に切実に求められる航空産業では、外骨格を構造体にするモノコック構造が早くから注目されていたが、その際にモデルになったのが卵だ。航空産業にも卵の形は多大な影響を与えているのだ。一言で言えば、卵型は形そのものが丈夫であり、911はその自然の摂理に従った無理のない形状をしている。
ポルシェは通常ブレーキに、その車両のパワーの約4倍近いブレーキ性能を与えます。360馬力のGT3やカレラSクラスでは約1500馬力近いスペックをブレーキに要求することになります。
ブレーキ関係で申請した国際特許の数は300件以上。
これらのポルシェのブレーキは「ブレンボ」という会社と共同開発しています。「ブレンボ」はイタリアの有名ブレーキメーカーで、ポルシェの他、フェラーリやAMG、F1などのモータースポーツなどの超高性能車に多数、純正採用されています。ポルシェの課す要求は相当なもので、ブレンボにとってもポルシェとの共同開発はチャレンジとなっているようです。993時代に最強と言われたポルシェのブレーキですが996、997では冷却、ブースターの制御、ABSの進化など一段と磨きが掛かっています。
ダクトやアンダーパネルにより整流された空気は、ブレーキを冷やした後にホイールの負圧等を利用して外部に放出。このような工夫により、熱を上手く排出します。
絶対的な制動力に加えて、フェードを起こしにくい巧みな技術が組み合わさり、安定したブレーキングを何度も行える性能を実現しています。
911シリーズやケイマン&ボクスター等においては、RRやMRの荷重をブレーキング時に活用できるような高次元バランスで設計されています。これにより、4輪すべてを使った、路面をがっちりと捉えるような圧倒的なブレーキングが行えるのです。
「圧倒的な制動性能」に加えて「冷却性能」「荷重を制した4輪全てを使えるセッティング」という3つの要素が組み合わさり、圧倒的なブレーキング性能を誇るポルシェのブレーキシステム。
強い信頼性と好評な理由は、バランスを考慮した緻密な設計があってこそのもの。
まさにポルシェの高い技術力だからこそ成せる技といえるでしょう。
PDKはポルシェ・ドッペルクップルング(Porsche-doppelkupplung)の略称で、ポルシェにおけるデュアルクラッチ式オートマチックトランスミッションの名称です。
ポルシェのシステムではトランスミッションシャフトが2本あり、1本には奇数段のギア、もう1本には偶数段のギアを配してあります。クラッチはそれぞれの先端に設けられており、2本のシャフトを交互に使用します。変速操作は当初レバー操作であったが後にスイッチ操作になりました。クラッチ操作は機械が受け持ちます。
ポルシェのATには2種類あって、ひとつはトルコンタイプの「ティプトロニック」。もうひとつがツインクラッチタイプのPDKです。ツインクラッチとは文字通り2組のクラッチが自動的に交互にギアを変えていくから、構造的にはMTながらもMTのようなクラッチペダルは存在せず、ペダルはアクセルとブレーキの2本だけ。だからオートマ限定免許で乗ることができます。
ドライバーはシフトレバーを“D”ポジションに入れるだけで、あとはアクセルとブレーキを踏みハンドルを切るだけで、クルマが走行状況を判断して、7段変速してくれます。
PDKはその走行状況判断による変速が完璧なのです。
MTで自分でクラッチペダルを踏んで、シフトレバーを手で動かしていたら、短い時間内にとてもそんな微妙な違いを反映させることなどできないだろう。PDKのようなツインクラッチタイプのATの採用は他のメーカーでも増えてきている。人間よりも賢く適切な変速ができるから、キビキビと走る上に燃費が良いというのだから、コスト増以外に採用しない理由がありません。
ただ、構造的には同種のものだけれども、ポルシェのPDKが図抜けているのは、優れたレーシングドライバーのような状況判断と素早い作動が実現されているからです。それを可能にしているのは、ギアやシャフトなどの機械部分が優れているのではなくて“いつ、どの段に変速するか”という変速の判断を司っている車載コンピュータユニット内のソフトウエアが特別優れているからです。
そのソフトウエアを書くのには膨大なテストデータが必要で、それを獲得するためにポルシェの開発陣はあらゆる状況を想定したテストを繰り返しています。ポルシェをポルシェたらしめているのは強力なエンジンパワーであったり、強靭なボディやサスペンションであったりすることは間違いありません。
その一方で、最新のポルシェはそれだけに止まらず、ATを制御するソフトウエアも優れているのです。カタチがなく目に見えないソフトウエアというものがパフォーマンスを決しているのが現代のポルシェです。
ポルシェは第2次大戦時、戦車の開発も行なっていたことです。なかでも「Ⅷ号戦車 マウス」はポルシェのイメージからは想像できないモデルであり、可愛らしいネーミングとは裏腹にボディは全長:約10m、全幅および全高:約3.6mと超巨大な戦車でした。2000m先にある148mmの装甲板を貫く主砲を装備し、最高速度は20km/hと、おそらくポルシェの手掛けた車の中で最も重く遅い存在でしょう。
超重戦車「マウス」は1943年に生産がスタートしたものの、同年7月に戦局の不利に伴う資源不足を理由に量産は中止。最終的には1944年6月にスクラップを免れた部品を集めて1台を完成させたとのこと。ただし、燃費の悪さと試験中にエンジンを破損して走行不能に。その後、修理されて実戦に投入されるも、燃料不足と機関故障によって最終的には自爆。ただ、不幸なことに主砲は無傷で残ってしまい、また車体のみが無傷だった別の試験車も接収された結果、二つを合わせて完璧なカタチで「マウス」は再生。現在はロシアのクビンカ戦車博物館に展示されています。
ポルシェは、ヒットラーの命を受け、フェルディナント・ポルシェ博士が、1937年からトラクターを製造販売。車名はひねりも落ちもない「ポルシェトラクター」……。(ポルシェ356は1950年、911は1965年のデビュー)。
1962年には、日本の農機具メーカー「ヰセキ」がこのポルシェトラクターを輸入・販売(4年間)。その後1964年から、このポルシェトラクターを下敷きにした、国産トラクター「TBシリーズ」を発売し、日本を代表する農機具メーカーになっていく。
余談だが、グループCカー全盛期の80年代、ヰセキがメインスポンサーで、Cカー史上最強最速だったポルシェ956を、チューニングパーツメーカーのトラストのチームが走らせて、国内の耐久レースで活躍したという奇縁もある。